冬の体調は夏に作られる
子どもの頃、祖母から
「夏でも靴下を履きなさい」と毎日言われていました。
気持ちいいから裸足でいると、
「裸足でいたら、冬に霜焼けになるよ」
と、口酸っぱく言われたものです。
子どもの私は、
「こんなに暑いのに、なんで靴下?」
と思っていました。
夏と冬なんて、まったく別の話だと思っていたからです。
でも今になって
もしかしたら、あれは祖母なりの養生の知恵だったのかもしれないな、と思います。
冬になってからでは遅い?
私たちは、冬になると急に体を温めようとします。
寒くなったから厚着をする。
冷えるから温かいものを飲む。
お風呂で温まる。
でも、昔の人はもう少し長い時間で身体を見ていたのではないでしょうか。
冬の身体は、冬だけでつくられるものではない。
夏の過ごし方も、秋の過ごし方も、その先の冬につながっている、そんな考え方です。
東洋医学でも、季節に合わせて身体を養う「養生」を大切にします。
だから、夏だからといって、
冷たいものばかり。
裸足ばかり。
冷房で身体を冷やしっぱなし。
という生活が、本当に自分の身体にとって心地よいのか一度、考えてみてもいいのではないでしょうか。
そういえば、おでんも……
そして、もうひとつ面白い話があります。
私たちは「おでん」と聞くと、完全に冬を思い浮かべますよね。
でも、昔のおでんは夏の食べ物であったそうです。
「暑いのに、おでん?」と思いますよね。
でも、昔の日本では、今のように「暑いから冷たいもの」という暮らしばかりではありませんでした。
温かいものを食べる。
身体を冷やしすぎない。
季節に合わせて暮らす。
昔の人には、今の私たちが忘れてしまった身体の知恵が、たくさんあったのかもしれません。
夏だからこそ、冷やしすぎない
もちろん、暑い夏に冷たい飲み物を飲むな、という話ではありません。
熱中症を防ぐための水分補給は大切です。
アイスだって食べたい。
冷たいものがおいしい日もあります。
でも、
「暑いから冷たいもの」
が当たり前になってしまうと、気づかないうちに身体を冷やし続けていることがあります。
東洋医学では、冷たいものの摂りすぎを避ける考え方があります。
華僑のお客様たちは皆さん共通して
1年中冷たい飲み物は絶対飲まないと仰います。
だから私は、
夏は身体を冷やす季節ではなく、暑さの中で身体を消耗させすぎない季節。
そんなふうに考えています。
おばあちゃんの言葉を思い出す
「夏に裸足でいると冬に霜焼けになるよ」
本当にそれが医学的な因果関係として正しいのかは、別の話です。
でも、祖母が伝えたかったことは、
「今の身体を大切にしなさい」
ということだったのではないかと今は理解しています。
そのときには意味が分からなかった言葉が、
何十年も経ってから、
「ああ、そういうことだったのかもしれない」
と思えることがあります。
昔の人の言葉には、科学的な説明はなくても、長い暮らしの中で身につけた知恵が入っていることがあります。
今から冬をつくる
では、冬に向けて今から何をする?
難しいことではありません。
冷たい飲み物ばかりにしない。
ときには温かいものを飲む。
冷房で身体を冷やしすぎない。
お腹や足元を冷やしすぎない。
温かい食事をいただく。
湯船に入る。
そして、よく眠る。
「絶対にこうしなければいけない」という話ではありません。
大切なのは、
自分の身体がどう感じているかを知ること。
冷たいものを飲んだとき。
温かいものを食べたとき。
裸足で過ごしたとき。
靴下を履いたとき。
その違いを、自分で感じてみる。
それが、自分の身体を知るということです。
「汝、自身を知れ」
自分を知るというのは、心や魂だけではありません。
肉体を疎かにして魂の進化は起きませんから。
自分の身体を知ることも、自分を知ること。
冬になってから慌てて身体を温めるのではなく、
今から少しずつ、身体が喜ぶことをしてあげる。
祖母が私に何度も言っていた、
「夏でも靴下を履きなさい」
という言葉を思い出しながら、今年の夏は少しだけ、冬の自分のために過ごしてきました。
冬の体調は、
冬になってからつくるものではなく、
夏の過ごし方から、もう始まっているのだから。
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